秘密保全法に反対する愛知の会 内田です。秘密保全法に反対する愛知の会 国際情報部会が、冊子「世界はどう見ているか」-国際人権基準と秘密保護法- を14/10/14に発行したところ、注文が殺到し3日で500冊が完売しました。ありがとうございました。その後も注文が相次いだため、増刷しました。ぜひご購入ください。 http://nohimityu.exblog.jp/22903078/ 1冊300円(送料別82円)です。全48ページ。ご注文はFAXまたはメールにでお申し込みください。
・申込書(FAX) http://nagoya.ombudsman.jp/himitsu/141017.pdf ・申込メールフォーム http://ws.formzu.net/fgen/S23406195/ なお、執筆者の一人、海渡雄一弁護士をお招きしての講演会「世界はどう 見ているか-国際人権基準と秘密保護法」を14/11/19(水)18時半から、 名古屋市ウィルあいちで開催いたします。ぜひご参加ください。 http://nohimityu.exblog.jp/22849553/ 冊子とともに振込用紙を送りますので、後日お支払いください。 郵便振替口座 00840-3-214850 「秘密保全法に反対する愛知の会」 また、冊子を手売りいただける方はご連絡ください。 お問い合わせ:秘密保全法に反対する愛知の会 〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-7-9 チサンマンション丸の内第2 303 TEL 052-953-8052 FAX 052-953-8050 http://nohimityu.exblog.jp/ no_himitsu@yahoo.co.jp https://twitter.com/himitsu_control --------------------------------------- 冊子『世界はどう見ているかー国際人権基準と秘密保護法』 秘密保護法、12月10日施行決定!! これでわかる、国際人権法と秘密法 日本政府はこんなにずれているのか 法制定後の反対運動の過程で浮かび上がってきたのが、国際人権法と秘密保護法 との整合性の問題である。・・・ 国際人権法から見ても秘密保護法は撤回して 出し直しを要求される内容だということが明らかである。・・・私たちが 上から権威的に進められようとしている権威主義的統制に抗するのは、一人一人の 自覚的個人の運動によってである。それこそが、私たち一人一人ができる 最大の抵抗である。その抵抗の武器は、国際人権条約によって内容を 豊かにした憲法であり、それを知った国民の言論による批判である。・・・ 闘いは学びから、批判の視点は知ることから生まれる。(冊子「まとめ」から) 目次 はじめに I 国際人権基準とは---国際情報部会 1 人権の定義 2 国連と国際人権規約 3 表現の自由と国際人権基準 II 一般的意見34とツワネ原則---海渡雄一 1 自由権規約19条に関する一般的規約34 2 秘密保護法は自由権規約とツワネ原則に違反する III 国際人権基準「情報にアクセスする権利」に基づく秘密保護法批判 ---エセックス大学 藤田早苗 はじめに 1 ARTICLE19とオープン・ソサエティ財団による批判 2 国連特別報告者と国連人権高等弁務官による批判 3 「情報にアクセスする権利」に関する締約国の義務 4 自由権規約委員会における審査 5 国際人権規約の実施と秘密保護法 6 秘密保護法運用基準へのパブリックコメント おわりに IV まとめ---中谷雄二 V 資料編 1)国際連合特別報告者による声明---特定秘密保護法は透明性を脅かすものである 2013/11/21 2)ARTICLE19による声明---秘密保護法を否決するよう、日本の国会に強く求める 2013/11/12 3)国際連合特別報告者による日本政府に対する質問 2013/11/9 4)国際連合特別報告者による日本政府に対する質問にたいする在スイス・ ジュネーブ国際機関向け日本代表部の回答 2014/1/31 5)表現の自由に関する国連特別報告者フランク・ラ・ルー氏のビデオメッセージ 2014/3/10 6)運用基準に対するモートン・ハルペリン氏のパブリックコメント 7)運用基準に対するオープン・ソサエティ・ジャスティス・イニシャチブ(OSJI)の サンドラ・コリバー氏(シニア・リーガル・オフィサー)によるパブリックコメント 2014/8/16 8)2014年7月、自由権規約委員会、第6回日本審査委員会におけるに 日本NGO19団体による共同ブリーフィング・プレゼンテーション 2014/7/14 9)2014年7月、自由権規約委員会、第6回日本審査委員会における セイベル・フォー委員の質問 2014/7/16 参考文献 ----------------------------------------------------- はじめに 「特定秘密の保護に関する法律」は、昨日12月6日、国内外の強い批判のなかで、 強行採決により成立しました。「何が秘密?それは秘密」。日本各地の反秘密保護法 デモや集会で使われたこの一句こそ、この法案の本質を突くものです。国連をはじめ 諸外国からは、このような杜撰且つ国際的な人権基準とかけ離れた内容を持つ法律が、 先進国、民主主義国として世界において知られている日本において作られたことが 驚きをもって受け取られました。 国連人権高等弁務官や国連人権理事会特別報告者などからの法案に対する批判は、 確立された国際人権基準を踏まえて極めて具体尾的な批判です。 2014年7月15、16日、ジュネーブの欧州国連本部に於いて、『市民的及び政治的権利に 関する国際規約』(通称「自由権規約」)に定められた規程に基づき、第6回日本審査が 行われました。秘密保護法は、すでにLOI(リスト・オブ・イシュー;審査質問事項)が 日本政府に送られた後に生じた問題でしたが、日弁連をはじめ多くのNGOはこれに ついての単独で或いは共同してレポートを提出し、更に口頭でも自由権規約委員会に おけるロビー活動を通して委員に問題点を訴えました。その結果、委員会の議長で あるロドリー教授はまとめとして「どうしてこんな法律が今になって必要なのか、 説明してほしい」と述べました。さらに、委員会の一週間後に出された総括所見に おいては、国際人権基準に則って、秘密保護法を修正すべきことが勧告されました。 この小冊子は、秘密保護法に対する国際社会からの批判・懸念の根拠となっている 『表現の自由』に関する国際人権基準について、広く皆様に知っていただくために 編纂されたものです。秘密保護法に反対する運動の中で、広く活用されることを 期待します。 ------------------------------------------------------- まとめ 秘密保全法に反対する愛知の会 共同代表 弁護士 中谷雄二 わが国では、これまで国際人権法に十分な関心が寄せられてきたことはない。 むしろ、戦後長らく政権を担ってきた自民党が結党以来、自主憲法制定を党是と してきたように、政府が日本国憲法を遵守するのではなく敵視してきたという 歴史から、これに反対する人々も、日本国憲法を重視する一方、国際人権規約を 始めとした国際人権法を構成する諸条約について関心を寄せる人々はごく少数に とどまった。しかし、日本国憲法の基本原則である国民主権、基本的人権の尊重と 平和主義を根底から脅かす秘密保護法が国会に上程されるや、秘密保護法制に ついて、国際人権法の専門家が集まって国家秘密の保護と知る権利の調整について、 ツワネ原則を策定したことが紹介されて、俄然、国際人権法に注目が集まった。 ただ、その関心も内容の詳細を知るものは一部にとどまり、国際的にも我が国の 秘密保護法が批判されているとしてその権威付けのために利用されたにとどまった。 私たち「秘密保全法に反対する愛知の会」(以下、「愛知の会」という)は、 秘密保護法が国会に上程される遥か前の2012年4月に結成して以来、秘密 保護法はこの国を戦争する国にするための法制度であること、国民を政府の 監視の下に置き、表現の自由を始めとする基本的人権を侵害することを理由として 制定に反対しつづけてきた。昨年秋の上程から12月の強行成立までの安倍内閣の 姿勢は、国民の声を無視し続けるばかりか敵視するものであった。法が制定された 後も、制定前後に結成された全国の市民団体に全国ネットワークの結成を呼びかけ、 今日まで反対運動を繰り広げてきた。 法制定後の反対運動の過程で浮かび上がってきたのが、国際人権法と秘密保護法 との整合性の問題である。特に今年7月に行われた国連の自由権規約委員会に おいては、我が国が審査の対象となっていたこと、国連特別報告者や国連人権高等 弁務官が秘密保護法に懸念を表明していたことから、自由権規約委員会において 秘密保護法についての勧告や総括所見が出されることが予想された。そのため、 会の中に国際情報部会を設け、自由権規約委員会の審査に向けて、愛知の会からも 委員会に秘密保護法の問題をアピールしようという声があがった。秘密保護法の 問題点は国際人権活動日本委員会や日弁連等がカウンターレポートを用意していた こともあり、愛知の会も名を連ねたが、我が国政府がどのように建前を述べようと、 国民に対して、ほとんどの情報を開示しない秘密主義は、各国の委員に大きな 衝撃を与えるだろうと、その点に絞って独自のアピールを行った。自由権規約 委員会における審査の状況と各国の国際人権法の専門家からなる規約人権委員会が 秘密保護法に対してとった厳しい態度や、総括所見の内容はこの小冊子の 本文を参照していただきたいが、国際人権法から見ても秘密保護法は撤回して 出し直しを要求される内容だということが明らかである。 日本国憲法が策定された後に、国際人権法は各権利の内容や権利保障の方法に 関して、豊に発展させられている。日本国憲法と国際人権規約との関係は、その 内容が共通する限り、詳細に制定されている国際人権規約が日本国憲法の内容を 補充、補完する関係にあるものと考えられている。むしろ、私たちは、積極的に 国際人権基準を活用することによって、日本の人権状況の改善を目指すべきなの である。ところが、わが国では、裁判所・検察官・弁護士ら法律専門家も含めて 国際人権法についての理解が不十分であり、そのため、自由権規約委員会第5回 審査では、国際人権法に対する法教育を充実するよう求める総括所見を出して いるほどである。 現在、安倍政権は、秘密保護法の制定に続き、日本国憲法に正面から反する集団的 自衛権の行使を閣議決定で容認することを決めた。多くの反対を押し切って集団的 自衛権の行使を認める閣議決定を安倍首相が急いだ理由は、日米ガイドライン 協議に間に合わせるためという理由だったはずだが、今回の協議では集団的自衛権 行使を前提にした協議は先送りし、協力の対象として周辺事態に限られていたものを、 周辺事態を削除し、全世界大に広げる予定であると報道された。臨時国会冒頭の 安倍首相の所信表明演説では、集団的自衛権の言葉すら一切でてこない。集団的 自衛権を行使するための関連諸法案は、臨時国会ではなく、来年の通常国会で 審議する予定となっている。この秋から年末にかけて政府は、国とそこに住む 人々の生命と暮らしに重大な影響のある集団的自衛権問題と秘密法について何の 論議もせず、「静かに」通り過ぎようとしている。 私たち国民がなすべきことは、国民の注意を集めないで静かに既定方針を推し 進めようとする政府の行為を憲法や国際人権法に即してキチンと批判していくことで ある。愛知の会が、秘密保護法反対運動を広げるにあたり最も重視したのは、 秘密保護法の危険性を学ぶことである。地域、団体において徹底的に学習会を 重ねることによって運動を担う人々を生みだした。まさに私たちが上から権威的に 進められようとしている権威主義的統制に抗するのは、一人一人の自覚的個人の 運動によってである。その抵抗の武器は、国際人権条約によって内容を豊にした 憲法であり、それを知った国民の言論による批判である。この小冊子は、国連 人権規約とツワネ原則の概要、自由権規約委員会の審査の状況やその総括所見を 紹介したものである。法制定直後に名古屋で国際人権法から秘密保護法が如何に 間違っているかを講演いただき、私たちに闘いの方向を示し、さらに自由権規約 委員会でのアピール準備からこの冊子への寄稿と継続して応援していただいた 英国エセックス大学の藤田早苗先生、快く論稿を使用することを認めていただいた 海渡雄一弁護士の協力によって完成したものである。ここに感謝申し上げると ともに、是非、秘密保護法に反対する全国の市民にこの小冊子を活用して秘密 保護法批判に役立てていただくことを強く希望します。闘いは学びから、批判の 視点は知ることから生まれる。 ----------------------------------------- 参考:藤田早苗氏「国際人権委員会の報告からみた日本の人権」 http://nohimityu.exblog.jp/22821114/