(23)委員会は最近採択された特定秘密保護法が、秘密に特定できる事項に関する定義が 広くて曖昧であること、 秘密指定に関して一般的な条件を含んでいること、そしてジャーナリストや人権擁護者の 活動に深刻な影響を及ぼしうる重罪を課していることに懸念を表する。
締約国(である日本)は特定秘密保護法とその適用が特に次の点を保障する自由権規約19 条の厳しい要求を確実に満たすように、必要なすべての措置を取るべきである。 (a) (秘密に)指定される情報のカテゴリーは狭く定義され、「情報を求め、受け 、伝授する権利」へのいかなる制約も、 適法性、均衡性の原則を満たし、国家の安全保障に対する特定され識別されうる脅威を防 ぐために必要であるべき; (b)国家の安全保障を害しない正当な公益に資する情報を流布したことで、個人が刑罰 を受けないこと。 Act on the Protection of Specially Designated Secrets 23. The Committee is concerned that the recently adopted Act on the Protect ion of Specially Designated Secrets contains a vague and broad definition of the matters that can be classified as secret, general preconditions for classificat ion and sets high criminal penalties that could generate a chilling effect on th e activities of journalists and human rights defenders (art. 19). The State party should take all necessary measures to ensure that the Act on the Protection of Specially Designated Secrets and its application conforms to the strict requirements of article 19 of the Covenant, inter alia by guaranteeing th at: (a) The categories of information that could be classified are narro wly defined and any restriction on the right to seek, receive and impart informa tion complies with the principles of legality, proportionality and necessity to prevent a specific and identifiable threat to national security; (b) No individual is punished for disseminating information of legit imate public interest that does not harm national security. 自由権規約委員会 2014年7月16日 セイベル・フォー委員による秘密保護法に関する質問 (書き越しと加筆;藤田早苗) 「意見、表現の自由に関して、どの程度それらに制約が可能か、ということについて。規 約によってこれらの権利の制約はーーー非常に狭いものであるべきだ、と考えられている 。しかしながら、日本の範囲というのは広くなっている。公共の福祉ということでひろく なっている。意見と表現の自由は規約で誓約した範囲を超えないことを確保するために、 どういうステップをとっておられるのかうかがいたい。これは理論的な質問に聞こえるか もしれないが、そうではない。こういう広い公共の福祉という言及と、法律の中に広範な 制約が有されている、そして司法審査が非常に限られているという点が懸念の対象である 。もっと具体的にいうなら、最近の例をあげてみたい。それは去年リストオブイシューズ を採択した後に出た問題である。質問に関する問題で、かなりの懸念を生んでいる問題で ある。それは特別秘密保護法について、そして規約19条に基づく権利の保護との兼ね合い の問題についてである。この問題について思い起こしていただきたいのは一般的意見34番 によっていわれているのは、19条2項は情報にアクセスする権利を擁護するものだとうた われている。 一般的意見の中で言われているは、情報へのアクセスを拒否する場合は相当な理由が述べ られるべきであり、取り決めがなされて拒否された場合の不服申し立てが可能であるべき だ、ということである。19条3項に関しては制約について述べられている。一般的意見が 強調しているのは締約国は非常に慎重に3項に基づいて厳しい要件を満たして初めて国家 の安全保障や公的な秘密を保護するべき。こういう法律は具体的に書かれたものであるべ き。この新しい法律の翻訳を読む限り、適用がどのくらいの範囲のものであるかというこ とが非常に分かりにくい。法律は何が秘密として指定できるのか、ということがはっきり しない。別表の目的をみる限り、非常に広いように思われる。防衛、外交、テロの防止、 そして指定された危険活動、これが何を意味するのかわからないが、そんなことまで述べ られている。さらに、特定秘密として分類する基準が明確ではない。これは忌々しきこと である。秘密情報を開示した場合の刑として10年までの刑が書かれている。秘密保護法の 24条の関連であるがそういう秘密を入手したばあいのこと、それを懸念する。こういう規 定はメディアを非常に恐れさすものである。秘密保護法の22条はニュースの報道の自由を うたっているが、この規定に具体的な意味が明白ではない。一般的意見によると、秘密情 報を流布したということで、ジャーナリストや環境活動家や人権擁護者を起訴するという ことは19条と整合性がないと考える。 日本としては、この法律が19条に即した形で適用されるように、どういう風に確保するの か。人が起訴されるということが安全保障と公の秩序の保護のために必要なときのみ、相 当な範囲でおこなわれるように、何かセーフガードはあるのか。研究者や環境活動家や人 権の擁護者が、刑事上の刑罰に課されないよう、どうやって確保するのか。」 ナイジェル・ロドリー議長 「一つ質問があります。即座に答えていただく必要はありません。特定秘密保護法につい てです。どういう風に既存の法律を変えるのか、どういう問題が起きたから特定秘密保護 法が必要ということになったのか。いろんな懸念が出ているのだが。」