7月5日~6日に大阪で開催された「秘密法に反対する全国ネットワーク」第2回全国交流集会に参加してきました。私は5日の冒頭に国会情勢などを報告しました。その後、各地の取り組み報告と交流会、そして翌日6日には、取り組み報告に続いて、西晃弁護士と藤田早苗さん(英国エセックス大学人権センター)の講演がありました。以下、メモをもとにまとめてみました。参考になれば幸いです(文責:杉原)。
<各地域からの取り組み報告> (STOP秘密保護法岡山実行委員会) 500万円で山陽新聞に秘密保護法廃止の意見広告を出した。県内議会への 請願運動に取り組み、4自治体で意見陳述。 (STOP!秘密保護法わかやま共同行動) 和歌山城でのイベントでアピール。やだネコシールをコップに貼るなどの 工夫も。 (秘密保護法廃止を求める岐阜の会) 6月21日に「もう黙っとれん1000人パレード」(集団的自衛権、秘密保護 法、原発再稼働に反対)を1000人の参加で成功させた。ホームページやツ イッター、フェイスブックで広がった。 (ストップ秘密保護法かながわ) 県内23ヶ所で集団的自衛権行使を問うシール投票。計5414人が投票。反対 が64%に。結果を持って議員を回ると、秘書から「私たちの地域でもやっ てくれたんですね」との声。7月3日に行われた県議会での陳情書審議で意 見陳述。残念ながら不承知に。鎌倉市議会では市民の粘り強い働きかけの 結果、1票差で反対の意見書が採択。 (秘密保護法の撤廃を求める埼玉の会) 昨年12月5日の昼休みデモには史上最高の500人が参加。カラーリーフは好 評で30万枚に。集団的自衛権の問題で地方は自公が揺れており、意見書案 を自公が作っているところもある。 (秘密保全法に反対する愛知の会) 6月20日、国会閉会日のデモには2000人が参加。国際情報部会を作り、国 連自由権規約委員会への働きかけにも参加。パブコメを書く会を各地で行 い、9月にはデモを予定。自主的に思いついたことを実行していく。 (ストップ秘密法・壊憲信州ML管理人会) 『安倍首相への手紙』を出版。パンフ『安倍首相への進言』を無料配布。 ハガキや7月1日12時30分に音を出そう運動も。意見書をもっとあげていこう。 (北大生・宮澤弘幸「スパイ冤罪事件」の真相を広める会) 3冊のパンフを発行。3000部が売り切れ、2000部増刷へ。北大との交渉で は、北大が冤罪事件だと認めて、風化させないために「宮澤賞」創設を表 明させた。しかし、宮澤弘幸を守れなかったことへの謝罪の要求には応じ ていない。 ※7月16日(火)0時40分~(月曜深夜)、NHK総合で『兄はスパイじゃな い!』が全国放映。 (秘密法廃止!広島ネットワーク) 県内の地方議会への意見書採択の働きかけに力を入れた。北広島町では講 師として紹介され、1時間、秘密保護法と集団的自衛権の両方について説 明した。デモは段々と参加者が増え、7月4日には850人にまで。脱原発運 動も合流して市民運動が束になりつつある。8月6日の広島市の平和宣言に 「集団的自衛権行使容認反対」を入れるように、市長への要請署名を始め ている。 (破防法・組対法に反対する共同行動) 国会行動に取り組み、国会見学に来ている人々にわかりやすく訴える努力 をしているところ。室内盗聴の合法化などが今後の国会に提案される恐れ があり、対応が必要。 (秘密保護法に反対する奈良県実行委員会) 4つの自治体で廃止を求める決議。韓国では輸入牛肉反対デモの先頭に中 学生が立っていた。高校生にもっと訴えていくべきではないか。 (秘密保護法の廃止を求める京都府民有志) 毎週金曜の脱原発行動の参加者が熱心。ドラム隊も増えてきている。集団 的自衛権の問題で、7月に入って公明党申し入れを含む連続行動に取り組 んだ。 (秘密保護法廃止ネットワークおおさか) 国会法改定に反対するアピールも行った。「廃止法案を出しなさい」と政 党に言っていくべき。 (秘密保護法廃止!ロックアクション) 一般の人々をどう巻き込むか、党派・団体間の対立をどう超えるか、何を メインテーマにするかを考えて取り組んできた。「ロックアクション」と 名称も考えた。弁護士会の呼びかけという形や若者への敷居を低くするな ど工夫している。 <特別報告:永井友昭さん(米軍基地建設を憂う宇川有志の会)> 地域の「安全・安心」は何もなされていない。防衛省の担当者は、「地位 協定に従えばいい」と言うだけ。現在、Xバンドレーダー基地の建設工事 が始まっており、毎朝お寺のお参りに行き、写真を撮ってフェイスブック に掲載している。秘密保護法が施行されたら、こうしたことにも圧力が強 まるのではないか。高校教師をしているが、生徒は「安倍チャンのやるこ とはわからん」と言っている。 <西晃弁護士> NSCの事務局が入手した全ての情報をもとに武力行使の判断がなされる ことになるが、検証手段は全く確保されていない。情報監視審査会はわず か8人で会派数に応じて割り当てられるので、反対している少数会派は入 れない。日本は情報をきちんと判断して客観的資料に基づいて物事を進め るのが苦手だ。原爆についても、当時の防空総本部は「軍服程度の衣服を 着用すれば火傷の心配はない」としていた(『検証・防空法』)。敗戦後 の文部省が作った副教材『民主主義』(上・下)に「民主主義の原動力は 国民の自分自身に頼っていこうとする精神である」と書かれていたことを 思い起こすべきだ。 <藤田早苗さん> 日本はどこまで行くのか、という気持ちだ。日本はいろんな意味で孤立し ており、透明性や知る権利を求めるコミュニティに入っていない。昨年の 「秘密保護法」制定時、ツワネ原則のもとになっている国際人権法が批判 の際に用いられなかったことは残念だった。世界銀行やアジア開発銀行は 3~6ヶ月間かけてパブコメを行い、返答も公開する。オープンディスカッ ションも実施して、最終的に2年以上かけている。日本はあまりにも拙速。 日本政府による秘密保護法の公式な英訳が遅れており、やっと先週に暫定 公開された。日本が批准している自由権規約19条の「情報にアクセスする 権利」の原則は拘束力を持っており、それに見合った法制度を作るべき。 若い世代に、「戦争は秘密から始まる」「知る権利はすべての人権の要石 なんだよ」と訴えていこう。 最後に事務局から「討論のまとめと行動提起」として、【取り組みの方向 性のあり方】と【具体的行動提起】の案が提案され、その後、メーリング リストで確認されました。 【取組みの方向性のあり方】 1.あくまでも秘密保護法を廃止させる。廃止法案を成立させるための取 り組みの重要性を意識しながら運動を構築しよう。 2.7月15、16日に行われる国連自由権規約委員会の審査に注目し、その 動向を市民に広め、勧告を政府に無視させない。 3.各自治体への意見書採択請願の取り組みを重視しよう。 4.運用基準のパブリックコメントに向けた取り組みを「数を示す」重要 な取組みと位置づけよう。 5.改定された国会法の問題点を広め、運用への監視を強めよう。 【具体的行動提起】 1.「6の日宣伝」に引き続き精力的に取り組もう。 2.廃止署名を広めよう。 3.9月議会に向けて全国で意見書採択の請願行動を、一斉に取り組もう。 4.運用基準パブリックコメントに全国で全力で取り組もう。 5.節目節目での全国的なアクションの企画と提起を、ともに考え、発信 しよう。 6.ネットワークの特性を活かして、あらゆる情報共有をもっと進めよう。 そして、市民にこの問題を拡げるためのあらゆるアイデア・工夫を共有 し、実践しよう。 ★実行委員会が当日の資料集の完成版(とても充実!)をPDFファイル で見られるように仕上げておられます。必見です。こちらから見られます。 http://nagoya.ombudsman.jp/himitsu/140705-6-1.pdf 【参考】 <秘密保全法に反対する愛知の会ブログより> 第2回秘密法に反対する全国ネットワーク交流集会(大阪) 15団体71名参加で大成功(2014-7-05 23:27) http://nohimityu.exblog.jp/22331645/ 第2回秘密法に反対する全国ネットワーク交流集会(大阪) 116人参加+大阪弁護士会集会5061人参加(2014-07-6 22:32) http://nohimityu.exblog.jp/22334953/ ※大阪弁護士会主催の集会は最終的に主催者発表6000人とのこと。 集団的自衛権行使容認反対集会(7月6日、NHK、動画あり) http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20140706/5192681.html 集団的自衛権、反対集会に5千人 大阪弁護士会、平和主義訴え (7月6日、共同) http://www.47news.jp/CN/201407/CN2014070601001602.html